安保徹先生の著作に学ぶ (5)
「免疫革命」序章より
現代医学はなぜ病気を治せないのか
最近、免疫力を上げれば病気が治る、病気を防げる、という話をたくさん耳にします。新聞や雑誌の広告で、免疫力を上げる民間療法の広告を目にしない日はないほどです。とくに、ガンやアトピー性皮膚炎、膠原病といった、現代の難病に免疫療法が効く、という話は、ちまたにあふれています。
ところが、それらは、どれも経験に基づいて治癒例を並べるばかりです。どうして免疫力を上げると病気から逃れることができるのか、という裏づけがきちんとなされていることはほとんどありません。
一方で、いわゆる医学部で学ぶ免疫学の分野では、免疫の化学的なメカニズムについての分析研究が圧倒的に主流を占めていて、病がなぜ起こり、なぜ治癒するのかという過程やしくみを解説するとりくみは、ほとんど行っていません。ですから、一般の人の視点にたってみれば、同じ「免疫」という言葉がついていても、免疫力と免疫の研究は、まったく別物であるかのように見えてもおかしくありません。
また、免疫療法が注目を浴びる一方で、現代医学は病気の治療に芳しい効果を上げているように思えないのが現状です。遺伝子だ、ゲノムだ、タンパク分子解析だ、と人間の身体のとてつもなく微細なしくみを解明する分野で、現代医学はたしかにめざましい成果をあげてきました。しかし、それらが直接的に、治癒をもたらす医療に反映されたという例が、ほとんど見あたらないのです。現代医学は病気を治せない、と非難されてもしかたがない状況にあると思います。
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